レコメンデット・コンフリクト

他人のオススメを聞く行為。

たとえば、初対面の人が読書好きと分かれば、「この人はどんな本を読むのだろう、どんな本を面白いと思う人なんだろう」ということが気になるのは自然の流れです。

たとえば、好きな人が映画好きだと分かれば、「私もこの人の好きな映画を見てみたい」と思うのは世の常です。その人が感動した映画というのは、その人を作り上げている一部なわけですから、私の体にもそれを取り込んでしまいたい、あわよくばその人と同じ趣味を楽しめるようになりたいと思ってしまうのは、私だけではないでしょう。

たとえば、嫌いな人がよく読んでいる漫画は、私はあまり読まないようにします。嫌いな人がオススメしてくれるお店にも行かないようにしています。もしもそれで私が気にいる漫画だったら、私が気にいるお店だったら、なんかこわいじゃないですか。今まで私はこの人のことを嫌っていたのに、ひとつでも共通点があるなんて、そんなことは避けたくなるじゃないですか。私だけかもしれないけれど。

好きだった人がオススメしてくれた本があります。その人がオススメしてくれたという事実を差し引いても、その本は素晴らしい本で、私がこれまでに読んできた100冊を超える本のなかで、トップ10に入るほどだと思いました。

ただひとつ悔いるべきことは、その人と私の関係が、けんか別れのような状態で終わってしまったことです。今読んでみてもその本は素晴らしく、とても嫌いにはなれない本なのですが、やはり読み進めるほどに複雑です。

多分これからも大切にしていく本ですが。

何かモヤモヤが心の中に渦巻いているので、ここに書いておくことにしました。